古に作った物語があったのでここに記します。
雨が止んだ冬の空。
夢だろうか部屋に入ってくるそよ風が私の髪を撫でる。
私は静かに目を閉じる。
そこには真っ白な空間と蓮の花。まるで死を感じさせるほどの開放感。
私「私、死んだのかしら」
早く現実に戻らなければならないと焦る気持ちまだここに居たいという気持ちが葛藤している。
自分が誰なのか、なぜここにいるのか分からなくなっていく.....
その時頭に激痛が走る目の前の世界がすごい速さで流れていくそこに映っている世界は紛れもない私の記憶だ。
その世界はある場所で止まった。
しかし、そこは私の見たことのない景色だった。私は彷徨った。
そこがどこか確かめる為にありとあらゆる場所を探っていった。
そして見つけたものそこにあったのは赤い髪飾りだった。
私「こ、この髪飾り、、お母さん?」
それは母が使っていた髪飾りだった、、
母は9年前私が14歳の頃に首を吊って死んだ。
原因は父である。
父は会社の倒産を境に人間が変わったように酒を飲んでいた。
酒を飲んでは、母や私に暴行を加えて私達はいつも傷だらけだった。
ある日、学校から帰った私は父が居ないかを確認し家に入った。
しかし、部屋が近づくにつれ泣き声が聞こえる。
泣き声の先は居間だった。
恐る恐るドアの隙間から中を確認する。
そこには座り込み上を見上げながら泣いている父。
その目線の先には。。。
私「足、、?」母は首を吊り死んでいた。
うっすら開いた目は父を見ていた、私は飛び出した。
私「どうして?」
父「俺の所為で、、」
許せない、、ここまで母を追い込んだ父が許せなかった。
私の何よりの理解者であった母はもういない。
私は、独り。
それからは父と二人で暮らす生活が続いた。
母の死のショックもあり一時期酒をやめていたが、それから2年経つとまた父は酒を始めた。酒を飲み暴れる癖は治らなかった。
ある日、私は高校卒業を間近にし、いつもより遅めの帰宅だった。
家に帰ると廊下のフローリングが真っ白い。
小麦粉?また父の酒癖の悪さで家が散らかっているのか、、、私はそう思い掃除機を取りに行こうとした、、
居間のドアを開け中に入ると母の骨壷が。
まさか。。
私は廊下に戻り粉をよく見る。
そこには真っ白い欠片があった。
母の骨だ。父は?私は父を家中を探した。
父は寝室にいた。
しかし、そこにいた父はもう父では無かった。
まるで心を失ったかのように外を見つめている。
私は台所にある包丁を忍ばせ。
父に深く。
強く。
涙を流しながらその背中に刺した。
父は眠るように静かに息を引き取った。
まるで嫌な思い出が消えていくように体の力が抜けた。
すぐに現実に戻ったが私の心は穏やかだった。
その後、私は人生の精算をするために家を出た。
私「どこへ行こうかしら、、」
家を出たものの行くあてがない。
私はただ目の前にある道をひたすら歩いた時間が経つにつれ日が登り始めた。
喉の渇きが増していく。
私は人を殺した。
一つの命を奪ってしまった。
たとえ、それがあんな父親でも、、
きっと今頃、学校が自宅に電話をかけている頃だろう。
しかし、今の私にはもう学校に行く気力すらない。
一歩、また一歩、歩いているうちに記憶がこみ上げてくる。
記憶とともに大粒の涙が頬を伝う。
昨日までは地獄だったのに、今は違う、でも、もうすぐまた別の地獄が待っている。
私は自ずと足を自宅の方向に足を進めていた。
もう、私はこの世界にお別れをする。
私は自宅にたどり着くと母がぶら下がっていた部屋に入った。
私は横になり母をつっていた紐を見上げた。
横を見れば透けたガラス越しに父が見える。
どれほどの時間が経っただろうか。
私は横になったままやせ細っていく右腕を見つめ静かに目を閉じた。
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